現代社会はさまざまな矛盾や葛藤を抱えています。
例えば、自由と責任。
かつて人類は自由を求めて戦ってきましたが、現在は自由すぎる社会の中でかえって自分で決めなければいけない責任に苦しんでいる人も多いです。
今日、紹介する『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜』はそういった現代社会の矛盾に切り込み、これからのコミュニティーのあり方について書いた本です。
WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.
「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.」
(僕たちは孤独だ。だが、一人じゃない)
映画化もされた漫画『宇宙兄弟』に出てくる一節です。
他にも『ドラゴン桜』『バカボンド』『僕たちはどう生きるか』などの超ヒット作に携わっている凄腕の編集者です。
自由は孤独
私たちは自由です。
何を食べようと、どんな仕事をしようと、何を言おうと、咎められることはありません。
しかし、孤独です。
何を食べるか?どんな仕事をしたらよいか?何を言えばいいか?
自分で情報を集め、自分で考え、自分で選択し、自分で責任を負わなければならないからです。
また自由は安心安全と反比例します。
自由になればなるほど、束縛するものがなければないほど、私たちは自分で自分の身を守っていかなければならなくなります。
なめらかな世界
インターネットの登場により、世界はとてもなめらかになりました。
いつでも、誰でも、簡単に、なんでも、わがままにできるようになりました。
少し前まで日本では「わがままは悪」でしたが、今では「わがままをいかに叶えるか?」が人々の関心事の中心となっています。
今までは社会の都合に個人が合わせて生きることが『スムーズ』でしたが、今では個人の要望を個人がスムーズに叶えられる時代になってきています。
また、例えば趣向について。
昔は個人の趣向に特化したコミュニティや情報が少なかった(あってもそこにアクセスすることが難しかった)ため、人々は誰もが見ているTVを見て、その話で盛り上がっていました。
しかし今では誰もが簡単に、自分の趣味の世界にアクセスし、同じような趣味の人々とつながることができるようになりました。
(特にマイノリティにとって、これはものすごく大きな出来事です)
これからのコミュニティ
なめらかだけど、自由で、孤独な社会の中で、新しいコミュニティの形が求められてきています。
これからのコミュニティに求められているものは『自由』と『安全安心』です。
(このふたつは相反するものかもしれませんが)
現在のオープンすぎるSNSは自由ですが、不安と危険をもたらしかねないものだ、と多くの人が感じています。
かといって、村社会のように安心だけど、閉鎖的で、束縛されたコミュニティには戻りたくはありません。
これからの時代には個人の趣向や信頼を基盤とした、横のつながりのあるコミュニティが求められています。
今までの『発信者 対 ファン』(1対N)というつながりではなく、『N対N』のつながり。
そして、仕事としてではなく、「楽しいから」という理由で、やりたい人が仕事を分担しながら運営していく。
そのようなコミュニティがこれからの時代にマッチしてくるでしょう。