運動をすることは、体の健康に良いだけではありません。
運動は心の安定にもつながる、ということが最近の研究で明らかになってきました。
運動は抗うつ剤よりも強力
1999年にうつ病に悩む人々を対象にある実験が行われました。
グループは3つに分けられ、1つめのグループは4ヶ月間、有酸素運動をするように指示が出されました。
2つめのグループは4ヶ月間、抗うつ剤を服用するように、最後のグループは有酸素運動と抗うつ剤服用の両方を指示されました。
結果は、3グループともに同じ。
3グループとも
「うつ状態が消え、幸福感が増した」
・・・という結果でした。
運動は抗うつ剤と同じように精神を安定させる効果があるのです。
さらに半年間経過観察をしたところ、抗うつ剤を飲んだグループよりも、有酸素運動をしていたグループの方が再発率は少なかったそうです。
運動は長期的に見れば、抗うつ剤よりも効果があるのです。
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幸せがずっと続く12の行動習慣
ソニア・リュボミアスキー 日本実業出版社 2012-02-16
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脳内ホルモンで精神的な安定を手に入れる
これは脳内ホルモンと大きな関係があります。
運動をはじめて約15分後に、『βエンドルフィン』という脳内ホルモンが分泌されます。
このホルモンには幸福感を増加させる作用があります。
また、鎮痛作用もあります。
それからしばらく運動を続けると、『ドーパミン』という脳内ホルモンが分泌されます。
これはやる気や高揚感を高めるホルモンです。
(ドーパミンは良いことを想像するだけでも分泌されるそうですから、うまく使えばモチベーションコントロールに効果的です)
まだ人間が狩りをして暮らしていた時代。
肉食獣に出会ったら、必死に走って逃げなければなりません。
急激に走るなど、激しい運動をすると筋肉が損傷します。
これは苦痛です。
しかし、そんなことを気にしていては逃げ遅れて死んでしまいます。
そこで、運動をすると、幸福感増大&鎮痛作用をもつホルモンが分泌されるようになったのです。
またこれらのホルモンとバランスをとるように『セロトニン』が分泌されます。
これは鎮静作用を持ち、心を安定させ、ストレスを打ち消し、幸福感を増加させる作用があります。
これらのホルモンの影響で、運動をすればするほど元気になり、ストレスが軽減され、幸福感が増すのです。