よく「どうすれば歌がうまくなりますか?」と聞かれます。
それに対する私の回答。
「歌う」
別にふざけているわけではありません。
やはりうまくなるにはたくさん歌うしかないのです。
いまやったからと言って、その場ですぐにレベルが1段階上がるような魔法の練習法なんてないのです。
うまくなるための『解答』を探し求める
昔、トランペットのレッスンを受けていた時、私は先生にこんな質問ばかりしていました。
「高い音が出ないんです。どうすれば出るようになりますか?」
「高い音を出すコツとかはないんですかね?」
「唇の形はこれで間違っていませんか?」
それに対して先生はどう答えたか?
「どれどれ・・・。ちょっと吹いてみて」
と言って、私のフォームや息の入れ方をチェックした後、
「じゃあ、私の後に続いて吹いて」
と言って、いくつかのドリル的なワークをやる。
それが先生の答えでした。
私はいつも「なんでもっと手っ取り早く答えを教えてくれないんだ」と不満に思っていました。
そして、私は「きっとうまくなるためのコツがあるはずだ」と信じて、様々な本を読みあさり、インターネットでもたくさんの情報を集めました。
中にはいくつかの納得できる理論もありました。
しかし、別に情報を得て、それでうまくなったということはありませんでした。
ただ「なるほど。こうすればいいのか」と納得しただけです。
必要なのは『解答』ではなく『行動』
技能を向上させたい場合、「こうすればうまくなる」という明確な答えなどないのです。
芸事の場合は特にそうです。
メジャーなスポーツや、語学、ピアノ、ヴァイオリンなどのように、やっている人口が多く、また歴史のあるジャンルについては、うまくなるためのメソッドが確立されているものもあります。
しかし、ほとんど技能は「こうすればうまくなる」という明確なメソッドのない場合が圧倒的に多いのです。
初心者はうまくなるための『答え』を求めがちです。
「これをやればうまくなる」という魔法の練習法を探し求めてしまいます。
この姿勢は練習者としては必要な姿勢です。
しかし、本当に求めるべきは、うまくなるための『解答』ではなく、『行動』なのです。
とにかくまずはやってみることなのです。