課題を板書する
いま、教育界で注目されている小技があります
それは・・・
この時間の課題を黒板に書く
ということです。
・・・えっ!?
くだらなッ!!
と思うかもしれませんが、残念ながらやっている側は大まじめなのです。
なぜこんなことに注目するのかというと、実は多くの子どもが授業中「いま、なにをやっているか」「なにについて学んでいるか」を理解していなかった、ということが明らかになってきたからです。
感想用紙を見てみると・・・
例えば、『聖徳太子は日本をどんな国にしたかったか?』というテーマで授業をやったとしましょう。
そして、授業の最後に『今日学んだこと』を書かせてみます。
すると・・・
「先生の話がおもしろかったです」
えっ・・・(゚Д゚)?
「聖徳太子はたくさんの人の話を同時に聞けてすごいと思いました」
えっ・・・(゚Д゚)?
聖徳太子はどんな国にしたかったかやったのに全然関係ないことしか覚えてくれてない・・・!!
ということが多々あるのです。
冗談だと思うかもしれないが、本当に多々あるのです。
そういえば自分自身も講演会などを聞きに行って、講師の先生の話がそれて結局なにを言いたかったのか全然わからなかったということや、「今日の教育界の課題」というテーマなのに学習指導要領がどう変わるか説明してただけじゃん!というような経験をしたことがあります。
これは子どもに限らず、実は大人同士でも多々起こっていることなのです。
これから登る山を『共有』しよう
これにはいくつか原因があります。
その原因のひとつは、教える側と教わる側の間で課題が『共有』できていないということです。
実はスタートの時点からしてすでにズレているのです。
教える側は「今日はこれについて教えよう」と思っていても、教わる側は「今日はこれについて学ぼう」とは思っていないのです。
例えば教師は「聖徳太子が中央集権国家を目指したということを教えよう」と思っていても、生徒は中央集権国家という言葉すら知らないのです。
だからスタートの時点で、生徒は「聖徳太子と中央集権国家」について学ぼうなどとは思っていないのです。
実は教わる側は多くの場合、出口が見えずに、どこに向かっているかわからずに教わっています。
これから登る山が富士山なのか、阿蘇山なのか、どれくらいの高さで、どこにあるのか知らないのです。
とりあえず教える側を信じて登ろうとしているのです。
このことは、教える側はよく理解しておくべきです。
そこで出てきたのが、『この時間の課題を黒板に書く』という手法。
例えば黒板に「聖徳太子は日本をどのような国にしたかったのだろうか?」と書いて四角で囲みます。
これだけで授業の定着率は大幅に変わります。
※別に最初に書く必要はありません。聖徳太子について簡単に説明した後に書く、という方法も可。
大人同士の場合でもさんざん説明をされた挙句、なにについて教えてもらっていたのかわからなくなることがあります。(教える側も教えられる側も)
こんな時はまず「今日は○○について教えるよ」と最初に一言言っておくのです。
これが自分にとっても、相手にとってもガイドラインとなり、効率よく教えることができるのです。
このことを我々は「これから登る山を共有する」と言っています。
「これから登る山を提示する」ではなく、「共有する」のです。
「今からこんな山に登るんだ」ということがわかっているだけでも、教わる側はずいぶん学びやすくなり、教える側も指導がブレなくなるのです。