「いいからやりなさい!」
子どもは「なんで?」と聞くのが好きです。
子どもは理由を知りたいのです。
子どもは納得したいのです。
何についても聞いてきます。
何度も聞いてきます。
何度も・・・
何度も・・・
何度も・・・
・・・イライラ・・・。
・・・と、だんだんそれに答えるのが面倒くさくなってきます。
そして・・・「いいからやりなさい!」と言ってしまいます。
これは大人に対しても同じです。
教える側からすると、いちいち理由を説明するのは面倒くさい。
手順だけ説明して終わりになってしまうことが多いのではないでしょうか。
しかし、子どもも大人も、人間は本来、理由を知りたがる生き物なのです。
趣意説明の原則~指示の意味を説明せよ~
先日紹介した向山洋一著「授業の腕をあげる法則」(明治図書)の中に『趣意説明の原則』というものが出てきます。
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授業の腕をあげる法則 (教育新書 1)
向山 洋一 明治図書出版 1985-06-01
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指示を出す時は必ず理由を付け加える、という原則です。
ただ「○○しなさい」と言うのではなく、そこに一言、理由をプラスするのです。
例えば・・・
×「ゴミを拾いなさい」 → ○「部屋をきれいにします。ゴミを拾いなさい」
×「ノートにこの漢字を書きなさい」 → ○「この漢字を覚えましょう。ノートに書いて練習しましょう」
このようにたった一言、「なぜやるのか?」という理由を付け加えてあげるだけで、相手は納得して、きもちよく、自分から動けるのです。
「いいからやりなさい」は、子どもの思考をうばう
ちなみにあえて理由を説明せずに、相手の思考を奪う教育方法もあります。
それは軍隊内での教育です。
軍隊では「○○しなさい」という『指示』のみで、動けるように教育されます。
戦場ではいちいち「今から撤退します。理由はまず・・・」などと説明していては死んでしまうからです。
「撤退!!!!!!!!!」と言われたら、弾を込めている途中だろうがなんだろうが撤退しなければなりません。
思考を捨てて、ただ指示に反応するように教育するのです。
軍隊としてはこれは必要なことだが、現代の教育現場や家庭、ビジネスシーンでは思考をうばうような教育はすべきではないでしょう。