ワーク・シフト~孤独と貧困から自由になる働き方の未来予想図<2025>~という本を読みました。
ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が書いた本で、日本では2012年後半にベストセラーとなりました。
この本は2025年の世界のあり方(特に働き方)について、大胆に予測しています。
そして、2025年の世界を幸せに生きるために、働き方を以下のように<シフト>していくことを提唱しています。
<第一のシフト> ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
<第二のシフト> 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
<第三のシフト>大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
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ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
リンダ・グラットン プレジデント社 2012-07-28
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2025年の世界はどう変わるか?
これから世界を変化させていく要因は大きく分けて5つあると言います。それは以下の5つです。
【要因1】テクノロジーの進化
これからテクノロジーはさらに進化し、世界50億人がインターネットでつながり、どこでもクラウドを利用できるようになります。
またバーチャル空間の中で働くことや、人間に変わってコンピュータが仕事をしてくれることも増えるでしょう。
その結果、経済活動の生産性はさらに向上し、スピードが速くなっていきます。
【要因2】グローバル化の進展
グローバル化はますます進みます。
特に中国・インドという大国の成長は、先進国にとって驚異的です。中国は「世界の工場」として、インドは「世界のバックオフィス」として、先進国の仕事の多くを請け負っていきます。
また新興国がやる気と能力のある人材を、先進国に向けて大量に輩出していきます。
その結果、先進国の中にも貧困層が生まれるでしょう。
【要因3】人口構成の変化と長寿化
日本でいう団塊の世代が引退し、いまの20代~30代が社会の中で重要なポジションを担うようになります。
また人々の寿命も長くなり、100歳ぐらいまで生きる人も多くなります。定年後、40年以上も生きるわけです。当然、年金と退職金だけでは食べていけません。
そのため、定年後も働き続ける人たちも出てくるでしょう。
【要因4】社会の変化
家族形態はますます多様化していきます。
また女性の社会的な力は強くなり、逆にライフワークバランスを重視する男性も増えていきます。
【要因5】エネルギー・環境問題の深刻化
エネルギーは枯渇していきますが、中国・インドの台頭により、エネルギー需要は激増し、エネルギー価格は高騰し続けます。
環境問題はより一層深刻化し、省エネや持続可能型社会が一層重んじられるようになります。
<第一のシフト> ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
いままではゼネラリスト(総合職)が仕事の中心的な役割を担ってきました。
ゼネラリストとは特定の専門分野に特化するのではなく、浅く、広く知識を身につけていく人のことです。
しかし、世界50億人がインターネットでつながりあい、いつでもさまざまな専門家の力を借りられる世界では、浅く広い知識しかないゼネラリストの必要性が低下します。
そこで、未来の世界を生き延びていくためには、ゼネラリストではなく、スペシャリストを目指す方向へとシフトする必要があります。
スペシャリストとは特定の分野に特化した高度な技能や知識を身につけた専門家のことです。
しかも、変化の大きい社会においては、一度、専門技能を身につけたら終わり、ではありません。
状況に応じて、新たに専門技能を身につけたり、専門分野を鞍替えしたりしていく必要もあります。
つまり、「連続スペシャリスト」を目指していくべきなのです。
<第二のシフト> 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
これまでの社会では、成功を勝ち取るには孤独な競争を勝ち抜いて行かねばなりませんでした。
しかし、家族や地域社会のあり方が変化していくこれからの社会では、逆に人間関係資本はとても大切になってきます。
また、新たなアイデアを生み出したり、イノベーション(革新/刷新)を起こすためには、多くの人とつながり、協力し合っていかねばなりません。
具体的には次の3つの人的ネットワークを、意識的につくっていく必要があります。
・ポッセ・・・少人数の頼りになるブレーン集団
・ビッグアイデア・クラウド・・・様々なタイプの人が集まる大きなコミュニティ
・自己再生コミュニティ・・・頻繁に会い、支えと安らぎを与えてくれる人間関係
<第三のシフト>大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
2025年に向けて「働くのはお金のため」という価値観を脱却すべきです。
これまでの社会はお金をたくさん手に入れて、たくさんの物を買い、たくさん消費する、という生き方が幸せの指標になっていました。
しかし、そういう生き方はライフワークバランスや環境問題など、たくさんの代償をともなうものでした。
未来の世界ではこのような生き方に変わって、ライフワークバランスを保ち、『やりがい』を指標として仕事をしていくべきです。
未来は漠然としていて、とても不安なものです。
この本はそんな未来に進むためのヒントを与えてくれます!
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ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
リンダ・グラットン プレジデント社 2012-07-28
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不安な未来に対する備えとして、ぜひ読んでおきたい1冊です!
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