りた‐しゅぎ 【利他主義】
利己主義に対して、他人の幸福や利益を図ることをまず第一とする考え方。
(小学館『デジタル大辞泉』より)
『利他」つまり、人の役に立つこと。
これは間違えなく、これからの社会で幸せに生きるカギとなる考え方です。
またライフハックのキーワードでもあります。
今回と次回の2回にわたって、この『利他』というものについて考えてみます。
利他とは何か?
Gift!まずは与えること
利他とは人のために何かをすることです。
利他の基本は、与えること(=Gift)です。
まずは与えること、次に与えること、そして与えることです。
人の役に立つために、サービスやギフトを供給していくのです。
それも、できれば自分の能力を生かして、できれば良質の、できれば相手を喜ばせるようなサービス。
そんなサービスを提供していく。
これが利他の基本です。
人の役に立つことはうれしい
人は誰かの役に立つことに喜びを感じます。
なぜか?
進化心理学的に考えると、それは人が社会的な動物だからです。
人から嫌われたり、ケンカばかりしていては、群れの中では生きていけません。
群れの中で遺伝子を残す確率を高めるためには、むしろ、人から好かれること、人を喜ばせることを積極的にやっていく必要があります。
これは異性に対してだけでなく、同性に対してもそうです。
同性から総スカンを食らって群れから追い出されたら生きていけませんからね。
つまり、人間は本来的に、できるだけ人から喜ばれる行動をするようにできている。
人の役に立つことをすると、幸せを感じるようにできているのです。
(これについて進化心理学的な見地だけでなく、認知科学的見地からも茂木健一郎先生らが同様の説を述べています)
ネット上ではLinuxなどの良質のOS開発に、全く無償で協力している人たちがたくさんいます。
彼らが無償でオープンソースの開発に力を注ぐのは、その能力を発揮して、課題を解決したり、人に良質のサービスを提供することそのものが楽しいからです。
(もちろん、より良いコードを書いて、良い評価を得たいという気持ちもあるでしょうが)
また、ある調査によると、ボランティアなどの利他的行動はその人の幸福度を高めるという調査結果もあります。
人の役に立つことはうれしいものなのです。
なぜいま利他なのか?
自己啓発・ライフハックというスキル主義
ではなぜ今、利他という考えが注目されているのでしょうか?
私はその理由として以下のような経緯があると考えています。
『自己啓発の女王』と呼ばれる勝間和代女史の活動に代表されるように、2006年ごろから現在に至るまで『自己啓発』『ライフハック』というものが流行しています。
自己啓発とライフハックは、厳密に言うと違うものなのでしょうが、多くの部分は重なり合っていると考えてよいでしょう。
自己啓発というのは自分を高めること。
そのために、話術とか、プレゼンとか、情報収集、情報整理、タスク管理などのスキルを磨きましょうという考え方です。
ライフハックというのは人生を豊かにする小技のことです。
例えば、iphoneを使って○○を便利にしようとか、早起きしようとか、自己啓発に比べてもう少し軽めのスキルが中心です。
こうしてみると、両方とも『スキル』に焦点を当てた考え方なんですね。
私もライフハックブログを書いているくらいですから、ライフハックは好きですし、スキルの向上にもとても興味があります。
ライフハック疲れ
でも、毎日、前向きに、がんばって、いろんなことに取り組んで・・・という姿勢でいるとそのうち疲れてしまうこともあります。
いわゆる『ライフハック疲れ』というやつです。
しかも、いろんなことを実践していくと『効用逓減の法則』が働いて、ひとつひとつの効果が見えにくくなったりもします。
そこでふと立ち止まった人たちが、「いや、幸せになるための答えって、実はもっと単純なんじゃないの?」と考え出した。
それで気付いたわけですよ。
人のために何かするって気持ちがいいよね!と。
自分のスキルを磨いて、自分を高めて、自分の夢を叶えて、自分の人生を豊かに・・・!
確かにそれも大切なんだけど。
そうじゃなくて、もっと単純に人のためになにかしてあげて、感謝される、それだけでも充分幸せを感じられるんじゃないの?と。
そこで登場したのが、『利他』『利他の精神』『Gift』というような考え方です。
つづく!
参考
Be proactive!自分が変われば世界が変わる! #szokhack
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