橘玲氏の『亜玖夢博士のマインドサイエンス入門』という本を読みました。
あらゆる学問を究めた亜玖夢博士が脳科学や進化心理学、行動科学などの『マインドサイエンス』を用いて、人々の悩みを解決するというストーリーのSF小説です。
ブラック・コメディ調のストーリーを通して、最新の脳科学や進化心理学のおもしろさに触れることができる本です。
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亜玖夢博士のマインドサイエンス入門 (文春文庫)
橘 玲 文藝春秋 2012-08-03
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あらすじ
あらゆる学問を究めた亜玖夢博士は、『衆生救済(しゅじょうきゅうさい)』を目指し、学問の力を駆使して人々の悩みを解決している。
物語の主人公はそんな亜玖夢博士の助手のあかね。
前作では最新の経済学の知識を用いて、人々の悩みを解決していった亜玖夢博士だったが、今回はマインドサイエンスを用いて人々の悩みを斬る。
亜玖夢博士とあかねの下に、ひきこもりの高校生コージや、粉飾決済の罪を背負って自殺しようとしていた大企業のサラリーマン百日紅、霊と対話できるという少女ミコなど様々な人物が相談に訪れるが、いつの間にか彼らの思惑は複雑に絡み合う。
それはいつしか、日本だけでなく世界中を巻き込む大騒動へと発展していく。
・・・物語のあらすじはこんな感じです。
マインドサイエンス
この物語の中で出てくるマインドサイエンスは以下の5つ。
・認知心理学
・進化心理学
・超心理学
・洗脳
・人工生命
それぞれの学問が各章のキートピックスになっています。
橘玲氏の『引っ張る力』はすごい
それにしても、圧巻なのは橘玲氏の『引っ張る力』です。
最近は
『序論・本論・結論』
『起承転結』
のように、論理を組み立てて、最後に結論を述べるというタイプの本が少なくなっているように思います。
最初に結論を述べてしまい、あとはそれを噛み砕いたり、違う角度から検証したりするようなタイプの本が多い。
そんな中で橘氏の本はゴリゴリと(多少強引に引っ張りながら)論理を展開していき、8割ぐらい読んだところでようやく結論が見えてくる、という構成の本が多いように思います。
この本もそんな感じです。
最初は「各章ごと独立した物語なのかなー」と思いながら読み進めていくと、いつの間にか物語が複雑に絡み合っており、最終的にものすごい展開が待ち受けているという・・・。
最後のぶっ飛んだ展開は圧巻でした。
やはり橘玲氏の本はおもしろい!ますますファンになりました!
※本書には性的な表現、グロテスクな表現が含まれています。ご購入の際はお気をつけ下さい。
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亜玖夢博士のマインドサイエンス入門 (文春文庫)
橘 玲 文藝春秋 2012-08-03
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