ロックバンド、ジャズバンド、吹奏楽団など、さまざまなアマチュアバンドに所属してきましたが、アマチュアバンドはとても運営が難しいものです。
どこのバンドでも必ず、よりうまくなることを目指す『上昇志向』派と、仲間や楽しむことを第一に考える『サークル志向』派の対立があるからです。
私は長年これらの問題と向き合ってきました。
現時点で私がもっとも有効だと思う解決策は、両者の妥協点を探していくことです。
上昇志向とサークル志向の対立
ほとんどのアマチュアバンドでは、上昇志向vsサークル志向という対立を抱えています。
上昇志向派の意見は、
・少しでもうまくなっていくことが楽しい
・ただなんとなく集まって演奏するだけでは意味がない
・下手な演奏をしてはお客さんに失礼。良い音楽を届けたい
・・・というような意見。
サークル志向派の意見は、
・仕事や家庭もあるので、バンドばかりを優先させることはできない
・仲間で集まって楽しく演奏することが大事
・お客さんも大事だが、趣味でやっているのだからまずは自分たちが楽しむことが大切
・・・というような意見が多いようです。
アマチュアバンドの宿命
アマチュアバンドはどこもこのような問題を抱えています。
まず大前提として、それを承知の上で、バンド活動をすべきです。
いまのバンドを抜けて他のバンドに入っても(つくっても)、毎回、同じような問題を抱えることになります。
これはアマチュアバンドの宿命なのです。
この問題が原因で、バンドを解散させたり、バンドを抜けたりするのはバカげています。
この問題から逃れるためには、プロになるか、アマチュアバンド活動を辞めるかしかないのですから。
それにバンドを解散したら、仲間も、演奏する場も、楽しむ場も、技術を向上させる機会も失うことになります。バンドを解散させてしまっては意味がないのです。
(もちろん、時にはそういう英断も必要ですが)
妥協点を探る
だからこそ、この問題に対する最良の解決策は、両者の妥協点を探ることです。
冷静に、両者の意見を聞いていけば、上昇志向と、サークル志向、ふたつの円が重なり合う部分が見つかるはずです。
私がバンド少年だった頃は、『妥協』なんて言うと、「それは汚い大人の考えだ。オレたちは自分の音楽に対して妥協なんてしない!」と言っていたと思います。
しかし、それは傲慢な考えです。
音楽に『完成』『完全』『完璧』はないので、この世にあるすべての音楽は程度の差こそあれ、すべて妥協の産物なのですから。
ちょっと話がそれましたが、とにかく妥協点を見つけていくのが得策です。
上昇志向の人たちはサークル志向の仲間を切り捨ててでも上を目指すつもりなのか?
サークル志向の人たちは1ミリもうまくなるつもりはないのか?
その辺を突き詰めて考えていけば、妥協案に迫れるはずです。
目的がないと凝集性は生まれない
ただひとつ気を付けてほしいこと。
ただの仲良し集団には『凝集性』がありません。
凝集性とはチームとして、集まる力のこと。
目的や目標、意味が無いと、人は動きません。
だからチームとして集まる力(凝集性)が生まれないのです。
学生時代の仲間ならまだしも、大人になってからつくったバンドならば尚更です。
サークル志向のバンドはそれはそれで楽しいものですが、長続きさせるためには、ただの仲良し集団ではなく、それプラスアルファの部分が必要です。