吹奏楽コンクールという熱い闘い
この時期、全国のホールでは夏の吹奏楽コンクールが開催され、熱い闘いが繰り広げられています。
吹奏楽コンクールで各校が演奏するのは課題曲と自由曲の2曲。
たった2曲だけを繰り返し繰り返し練習します。
早い学校は1月から、遅い学校でも5月ぐらいからコンクールの練習を開始します。何ヶ月もたった2曲を練習し続けるのです。
これはちょっと普通の感覚では信じられないことだと思います。
これだけ練習しても本番前には「時間が足りない!まだやることはたくさんあるのに・・・!」と思います。
まずは不純物を取り除き、クリアなサウンドをつくる
今年のコンクールに向けての練習の中でひとつ気付いたことがあります。
それは
まずは、何度も何度もろ過して、曲から不純物を取り除いていくような練習が大切だ
ということです。
練習をはじめたばかりの頃は、曲は不純物だらけです。
ピッチの狂い、リズムの乱れ、読譜間違いなどなど。
それをザックリと目の粗いフィルターでろ過して、まずは大きな不純物を取り除いていきます。
何度かろ過すると、大きな不純物は取り除けますが、そうすると次はフィルターの目を通り抜けてきたもう少し小さな不純物が目に付くようになります。
そこで今度はもう少し目の細かいフィルターでろ過して、小さな不純物を取り除いていくのです。
そうして、少しずつ、少しずつ不純物を取り除いていきます。
ベテランは不純物を見つける耳を持っている
今年のコンクールに向けて、何人かプロの演奏者やベテランの指導者の先生方の指導を仰ぎました。
そこで気付いたのですが、ベテランの指導者でも、何十人もの演奏者が一斉に音を出した時に、誰の音程が悪いのか、一発で聴き分けられる人は少ないようです。
しかし、ベテランの指導者はまずは「このサウンドは不純である」ということを感じ取る耳を持っています。
まずは「不純である」ということを発見できる、ということが大事なのです。
あとは、「じゃあ金管やってみて」→「トランペットやってみて」→「あ、あなたズレてるよ」と少しずつ絞り込んで、間違いの原因を特定していけば良いのですから。
味付けは後からでもできる
不純物を減らす作業というのは下地づくりです。
味付けはその後でも充分にできます。
まずは不純物を極力無くして、クリアな音をつくってから、いかに歌うかとか、テンポを揺らすとか、味付けをしていくのです。
・・・と、まぁこんな地道な作業をしているので、吹奏楽指導はかなり時間がかかるのです。